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752. 励ます前にすべきこと (2018/11/16)

【やる気のない後輩】

リーダーシップに関する1日セッションの後、参加者のAさんが講壇に寄ってくれました。社会人十年め位でしょうか、終日活発多弁で、実務でも活躍されているのだろうなと思っていた方です。「いま面倒を見ている後輩が仕事にやる気を見せないし、細かく指示をしても守らない。どうしたらいいのか悩んでいる」というご相談でした。

話をうかがうと、かなりのエネルギーを後輩の指導に費やしています。意欲がないとのことだったので「人が自発的に行動する3つの理由」で紹介した期待-価値理論を要素分解したものをホワイトボードに書き出して、一緒にチェックしてみました。

まずは価値から。価値は「役に立つ」「重要」「面白い」といった種別に分解できます。後輩はAさんが望むような「重要」「面白さ」といった価値は仕事に感じていないものの、今の職を失いたくない経済的な事情があり、「役に立つ」価値は感じているようでした。

次に期待です。期待は結果予期(やり方がわかる)と効力予期(それをやれると思える)に分解できますが、Aさんはやり方を丁寧に教えているとのことで、結果予期はクリアしていそうです。効力予期は「自己効力感(セルフ・エフィカシー)の先行要因」を書き出してみました。その一つにモデリング、つまり他人がやっているところを観察するという要因があるのですが、ここでAさんは「山本五十六ですね!」と言いました。

やってみせ
言って聞かせて
させてみて
褒めてやらねば
人は動かじ

の、「やってみせ」ですよね、ということです。

やってみせているし、ほめて、はげましてもいるそうです。山本五十六のみならず、様々な本をよく読まれているご様子。相談に来られるにあたっても、いつまとめたのか質問のリストを手にされています。先輩がこれほど優秀だと後輩も大変だろうと感じました。

ふと、後輩は窮屈に感じているかもしれないと思いました。あまりに先回りされ、逃げ道をことごとく塞がれているような気持ちになっているかもしれないと。そこで、思い出したエピソードを一つ共有させてもらいました。自分の苦労をわかってほしくて相談したのに、上司からは毎回「そういう場合はこうすればいい」としか言ってもらえず不信を募らせた部下の話です。

30分ほど話し込んだところで会場が閉まる時間になり、相談はおしまいになりました。

【励ます前にすべきこと】

翌日、Aさんの話を反芻しながら『リーダー・エフェクティブネス・トレーニング』という本に目を通していて、最後に浮かんできた直感を掘り下げるべきだったと反省しました。「日常的にリスニング・スキルを使う」という章にこんな文例があります。

メンバー: 私の能力でその仕事が務まるかどうかあまり自信が持てません。 (A)リーダー: 君が挑戦すればできると私は確信しているよ。 (B)リーダー: 君はそれが手に負えなくなるのではないかと恐れているんだね。

Aさんは明確に(A)アプローチでした。しかし(A)は、メンバーが問題の特定に向かう感情になるのを妨げる可能性が高い、と解説されています。

リーダーはメンバーを安心させようとして(A)のように言うわけですが、メンバーからすると、すこし大げさに書くなら「おまえの気持ちはどうでもいいからやれ」と返されるのに近いのです。もちろんノンバーバルなチャネルで肯定的なニュアンスが伝えられたり、それまでに良好な人間関係が築かれていたならばそういう誤解は生じないでしょうが、言葉として受容のステップが抜けているのはたしかです。

【理解してから、理解される】

振り返るときはいつもそうですが、なぜあの場でそこまで頭が回らなかったのだろうかと思います。せめてもの慰めは、わたし自身相談に来てくれたAさんに対して(A)アプローチを採らなかったことと、セッション中に『七つの習慣』の「理解してから、理解される」という章の一節を引用していたことです。理解してから、理解される。これがまさにAさんが試してみる価値のあるアプローチだと思います。

面白いことに、Aさんが社会人になるときにお父様から贈られた本が『七つの習慣』なのだそうです。もらったきり読んでいなかったが、今日引用があってハッとしたとのこと。30分の相談はその話で終わりました。

「俺がこういうことで困ると見越して渡しておいてくれたのかもしれませんね」
「父が子のために選んだ本なら、もちろんAさんの役に立つとお考えになったのでしょう」
「帰ったらすぐ読んでみます」

今ごろお父様にお礼の電話をされているかもしれません。



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