【感情的にならないために感情を無視する、では十分でない】

あまり詳しく書けないのですが、Aさんの仕事ぶりを上司のBさん(ボスのBだから覚えやすいですね)が観察し、フィードバックする、というシーンがありました。

Bさんは表情が動かない方で、Aさんの仕事ぶりをどう評価しているのか、うかがい知ることができません。
一段落したところで感想を聞いてみると、Aさんの思慮の浅さについて厳しい評価を下されました。部下が自分の望むように動いてくれない苛立ちが伝わってきます。口の端の歪み加減からして、若干の軽蔑すら感じられているようです。

苛立ちがすぐ怒りの導火線に着火して爆発してしまうタイプの上司もいますが、Bさんはそうではありません。「おまえはここができていない」と冷静・的確に指摘をします。ただし、やや蔑むようなトーンは隠せません。

Bさんご自身はご経験も長く、速く深く考える力のある方です。したがって、ご自身の期待レベルとAさんの現在地には大きな隔たりがあることも理解なさっています。Aさんの仕事ぶりに強い不満を感じているのに怒りを爆発させないところに、Bさんの自制心の強さを感じました。繰り返し襲ってくるネガティブな情動(なぜ私のようにできないんだ!)をうまくやり過ごす術を身につけておられるようです。

ただ、延々とダメ出しが続くので、Aさんに同情してしまうと同時に、すこし不思議な感じもしました。Bさんの力をもってすれば、Aさんによく考えさせるための問いかけをすることも可能なはずです。なぜ上から叩くばかりで、上へと引き上げるべく手をさしのべないのでしょうか。

Bさん本人に聞いたわけではないので、ここからはわたしの推理に過ぎません。Bさんは、単に「その気になれなかっただけ」だと思います。

ネガティブな情動が持ち上がってきてしまうと、やり過ごすだけでも一仕事です。まして育成モードで考えるなど、まさに、言うは易く行うは難し。

【感情的にならないためには感情的になる必要がある】