375. Googleの「心内検索」トレーニング

検索サービス大手Googleの古参社員である Chade-Meng Tan による"Everyday compassion at Google"という講演の動画を見ました。

Tan氏は、自らが感情知能を高める社内トレーニングを開発・実施するにいたったストーリーを語っていました。"Search Inside Yourself"という気の利いた名前のトレーニングです。


この動画の11分過ぎから、トレーニングの構造について語っている部分がありましたので、日本語に訳してみました。
  1. 【注意力】― 注意(attention)は、高次な認知的・感情的能力すべての基礎である。したがって感情知能のトレーニングは、注意力の訓練から開始される必要がある。注意力の訓練は、感情知能の基盤となる、穏やかで澄んだ心をつくり出すことを目的としている。
  2. 【自己知識と自制】― 第1ステップで得られた高い注意力によって、我々の認知・感情プロセスを微細に知覚することができる。はっきりと、客観的に、第三者の視点から、我々の思考や感情の流れを観察できるのである。
  3. 【精神的な習慣】― 誰であれ、人と会った瞬間に「あなたが幸せでありますように」という考えが無意識に浮かんでくると想像してほしい。このような習慣を獲得すれば、仕事の何もかもが変わる。なぜなら、こういった善意は意識下で他者に伝わり、信頼を産み、よい人間関係をつくり出すからである。それは職場に思いやりをもたらす条件でもある。

感情知能を高めるGoogleの社内研修"Search Inside Yourself"の3ステップ - *ListFreak


compassionというタイトルから察せられていたように、原始仏教の思想が背景にあることが分かります。特に最初の2つのステップがめざすところは、マインドフルネスとして知られる心の状態そのもののように思えます。

興味をひかれたのは、Tan氏がそれらを「感情知能」のトレーニングと位置づけたことです。感情知能 〜いわゆるEQ〜とマインドフルネスの関係づけは、たとえば『実践EQ 人と組織を活かす鉄則―「共鳴」で高業績チームをつくる』で試みられています。以下は、ジョンという名の、ビジネスでもボランティア活動でも活躍している人の活動ぶりを紹介し、その活躍を彼のある能力と関係づけているくだりです。上記のトレーニングがめざしているものとよく似ていることが分かります。
引用:
 ジョンの一日の仕事量は、普通の人の一週間分に相当するだろう。どうしてそれほどの仕事量をこなせるのだろうか?一つ違いを述べるならば、彼の自己認識と、人とまわりの世界に対する洞察力とがずば抜けて鋭いことだろう。自分にとって何が重要でそれはなぜか、自分の信念と価値観をいかに貫いていくかがわかっている。他人と状況を非常にはっきりと見通し、自分とまわりで何が起きているかに気づく。ジョンは自分自身と、人々と、まわりの状況について、目覚め、意識し、積極的に気づかう。そして彼は、自分が見たものを活用するのだ。
 これを私たちは「意識の傾注」と呼ぶ。(略)
ここで「意識の傾注」と訳されている言葉こそ mindfulness です。「ジョンは自分自身と、人々と、まわりの状況について、目覚め、意識し、積極的に気づかう」(John is awake, aware, and actively attentive to himself, people, and situations)という1文に含まれる3つの行動は、ほぼTan氏が定義したトレーニングの3ステップにそれぞれ相当するように思えます。

Googleのこの試みは、本業同様にとても先進的なものです。どのような効果を挙げているか、引き続き追ってみたいと思っています。

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作成: 2011/4/22 by:koji
更新: 2013/9/20 by:koji


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